カメラやレンズを使った感想や作例について書くカメラよろず話、第30回で取りあげるのは、Zeiss Ikonが発売したフォールディングカメラ、Super Ikonta 531/2です。

6×9判という中判の中でもかなり大きいフォーマットで撮影することができるカメラですが、蛇腹で折りたためるとあって非常にコンパクトなサイズで持ち運ぶことが可能です。
そんなアウトドア向き(?)なこのカメラを使った感想や作例について書いていますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、過去のカメラよろず話は、以下のリンクからどうぞ!
Super Ikonta 531/2 仕様

絞りやシャッタースピード・ピント・シャッターチャージなどの操作部はレンズ周辺に集まっています。
シャッタースピード:B・1秒・1/2秒・1/5秒・1/10秒・1/25秒・1/50秒・1/100秒・1/250秒・1/500秒
露出計:なし
フォーマット:120フィルム(6×9/6×4.5切替可能)
レンズ:Tessar 105mm F3.5
最小絞り/最大絞り:F3.5/F32
フォーカス:二重像合わせ
巻き上げ:手動、赤窓式
発売年:?年
Super Ikonta Ⅱとも呼ばれるこのカメラの特徴は、多重露光防止機能がついたこと、そして専用のマスクを使用することで6×4.5のセミ判仕様で使うこともできることです。Wikipediaいわく戦前発売らしいのですが、私の手元にある個体のレンズ銘板には戦後でしかありえない"Zeiss Opton"の銘が入っており、少なくともレンズ部分は戦後のものとなっているはずです。
そのあたりが分からず、発売年については不明という表記としました。誰か詳しい情報をご存じでしたら教えてください。
入手した経緯
以前入手したIkonta 520/2。6×9判のフォーマットで撮影できるのは楽しかったのですが、何らかの原因で光漏れが発生しており、ちょっと使いづらくなっていました。
そんなとき、当ブログで何度も登場している秋葉原の2nd baseへ赴いたところ、なにやら状態のよさげなSuper Ikontaが棚に並べられているではありませんか。
どうしようか数日悩んでいたところ、距離合わせのファインダーがちょっと曇っているからという理由で値引きされていました。
そんなの買うしかないですやん。
というわけでお買い上げとなりました。お値段17,800円とかでした、確か。
使った感想
正直、それなりの慣れは要る。

シャッター・絞り・ピント合わせ・フィルム送りといったカメラとして基本的な機構は一通り備えているのですが、現代のカメラに慣れた身からすると、それなりに扱いが難しいです。
基本操作は以下の通り。
- 蛇腹を展開
- フィルム送りが適切にされていることを確認。されていなかったら、赤窓を覗きながら慎重に送る(窓は2つありますが、6×9で撮影するときの私は先にフィルムカウントの数字が見える方の窓にフィルムカウントを合わせています)。
- シャッタースピードと絞りを操作し、露出を決定
- ピント合わせ用のファインダーでピントを決定
- 構図合わせ用のファインダーで構図を微調整
- シャッターを押し込み、撮影
- 巻き上げダイヤルを操作しフィルム送り
- 次のコマを撮影
といった感じです。後述しますが、順番にも意味があるのでアレンジは難しいです。一応、三脚に固定しているときは構図合わせを早い段階で決められるんですけどね。
なお、少ないながらいわゆる「お作法」もあります。
- 蛇腹を展開する際は、蓋を抑えながらゆっくりと行う、
- 蛇腹を畳む際は、ピントを無限遠に合わせた状態(レンズが引っ込んだ状態)で行うこと。
- シャッタースピードを合わせるのはシャッターチャージ前が良いとの話を聞いたことがあります。特に最高速の1/500に設定する際は使用するギアが切り替わるので、なおさら注意するべし、とのこと。
この3つは必ず守りましょう。長く使うには必らず守るべきお作法です。
また、お作法ではないのですが赤窓式のカメラに共通する注意点として「フィルムカウントの数字、特に"1"を見逃さないこと」があります。最初のフィルム送りにはめちゃくちゃ注意しましょう。
縦線だと思った記号が実は数字の「1」だったのに気付かず巻いていたら「2」が現れて泣くことになります、なった。(Ektarでやりました。"1st"みたいなサルでもわかる表記にしてくれません?)
……とまあ扱いが難しいことを書き連ねてしまいましたが(笑)、このカメラが優れている点として、多重露光防止機能を備えていることが挙げられます。
シャッターを切った直後は巻き上げノブの脇の小窓が銀色なのですが、一回転くらい巻き上げるとこの小窓の色が赤く切り替わり、多重露光を防ぐようになっています。
Ikonta 520/2で多重露光をやらかしまくった私からすると、大変ありがたいですね。
とは言えトータルでは扱うのが難しいカメラなので、そこを楽しめる方でないとなかなか親しめないタイプのカメラではあります。
幸いなことに、この機種はボディ側にシャッターがあり、また針が飛び出すタイプの一般的なケーブルレリーズも使えます。三脚を使用する際は積極的に併用して、事故を減らしましょう。
距離合わせはちょっとしんどい

購入時から分かっていたのですが、距離合わせのファインダーがだいぶ見づらく、二重像での距離合わせの難易度が高い個体です。じゃあ目測でやればええんかというと、なんと私の手元にある個体は距離表示がフィート表記しかないので目測もやりづらいです。うーむ……
まあ1ftはざっくり0.3mくらいなので、おおざっぱに計算するなら3倍くらいすればなんとなく距離が分かるのですが。
ちなみに、この記事を書くために久々に取り出して空シャッターのつもりでシャッター切ってからフィルム入ってたことに気付きました。ド鬱。
作例(6×9)
フィルム1ロールで撮影できる枚数が6×9だと8枚しかなく、また私の技量では扱うのが難しくて打率が低いこともあり、お出しできる作例が少ないです。


搭載されているTessar 105mm F3.5は戦後のコーティングが施されているとはいえ純然たるテッサー型のレンズ構成であり設計が古いとか言うレベルではないのですが、さすがにフォーマットが大きいだけあって絞ってピントを合わせればかなりの写りを見せてくれます。

絞り開放を使うのにはそれなりの勇気が要りますが、じっくりピント合わせして決まった時の快感たるや、です。

個人的にはEktar 100との相性がいいかなと思っています。
作例(6×4.5)
マスクを使用してセミ判でも撮ってみたので、どうぞ! ちなみに、横にカメラを構えると縦構図になる(ハーフカメラと同じ理由です)ので、自然と縦構図が多めです。

6×9より小さくなるとは言えさすが中判、ボケ量が大きいですね。

がんばって横構図で撮った一枚。こういうふさふさしたのってレンジファインダーでピント合わせるの難しいんですよね……

一応戦後レンズなのでいわゆるTコーティングがあり、レンズの銘板にもそれを示す赤字の"T"が記されています。そのおかげか、晩秋の夕方に差す木漏れ日程度なら逆光も何のそのです。
終わりに~大変さが楽しい~

ピント合わせに難儀することもあり、きっちりとした像を得るためには三脚の必要度がかなり高いカメラです。しかし、さすが大きなフォーマットを擁するだけあって、良い一枚が撮影できた時の爽快さはひとしお。それに、操作が難しいといったって大判とかに比べれば全然扱いやすいですからね(たぶん)。
大変さを楽しみながら、長く使いたいものです。
あと、大事な要素として見た目がめちゃくちゃカッコイイです。これはマジ。
さて、次回も中判フィルムカメラということで、ZENZA BRONICA S2 & Nikkor-P 7.5cm F2.8を取りあげます。和製ハッセルブラッドと言われる独特なカメラの実力はいかに、ということで作例を用意しておりますのでお楽しみに。
ただし、今年のカメラよろず話の更新は今回が最後。
コミケの告知と2025年の振り返り記事を挟んで、次回の更新は年明けの予定です。
それでは、次回の更新で。
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▽三脚を使わないなら手ぶれのことを考えてISO400が安パイです。
▽セミ判で使用したLomoChrome Color ’92 Sun-kissed 120 ISO 400。
▽カラーネガでコストパフォーマンスが高いのはやはりGOLD 200。


