カメラやレンズを使った感想や作例について書くカメラよろず話、第27回で取りあげるのは、ミノルタカメラ株式会社(当時)が1983年に発売したコンパクトフィルムカメラAF-S QUARTZです。

オートフォーカスが普及し始めた初期の機種ですが、いまいち知名度は低いように思います。しかし、他のカメラにはなかなか見られない、ある個性的な機能を搭載している一台なのです。今回は、そんなMINOLTA AF-S QUARTZについて、使用感や作例、そしてその個性的な機能とは何かを紹介します。
なお、過去のカメラよろず話については、以下のカテゴリーから参照ください。
MINOLTA AF-S QUARTZ 仕様

レンズ:ミノルタレンズ35mm F2.8(3群4枚)
最短撮影距離:0.85m
対角画角:63°
シャッター:自動露出、Ev6(F2.8、1/8秒)~Ev17(F14.5、1/625秒)
露出計:CdS受光素子
フォーマット:135フィルム
フォーカス:アクティブ式AF、フォーカスロック可
巻き上げ:自動
発売年:1983(昭和58)年
説明書もいっしょに入手できたので、上記の仕様はほとんどが説明書から引いたものです。
特徴としては、アクティブ式のAFを採用していることでしょうか。
アクティブ方式は、対象に超音波や赤外線などを当て、その反射を受け取るまでの時間や反射角度を検出して対象までの距離を測ります。原理が簡単で、多少暗くてもフォーカスできるため、コンパクトカメラなどに採用されていますが、対象までの距離が遠かったり、対象物までの間にガラスなどの反射物があると誤動作する場合があります。
シグマ光機株式会社 光学屋さんの豆知識│016 オートフォーカスより引用してみました。レンズでのフォーカシングは、撮影者がレリーズしてからシャッター幕が開くまでの間に行われます。
このアクティブ式ですが、当時のコンパクトフィルムカメラとしてはメジャーな方式だったようで、他メーカーの機種でも採用されています。
ちなみに現代のカメラで主流なのはパッシブ式です。像面位相差式AFやコントラスト式はこちらに含まれます。
入手した経緯

2nd baseのジャンク箱に箱ケース説明書付きのまさに「買ったまま状態」で入っていたので興味を惹かれて買いました。お値段1,000円(税込)。
新品購入時の保証書なんかも入っていたので、いわゆる「ワンオーナー」の可能性すらあります。
いくらジャンクとはいえ箱付きで出回ることはそこまでないだろうなと思ったので、
この価格ならいいかなと思って買ってしまいました。
「2025年はボディを増やさないぞ」と決意をしていたのですが……
もうボディは増やさないって言いましたよね!? https://t.co/epib4Cw54F pic.twitter.com/xVRJPzyxRD
— こおろぎ (@korogi07) 2025年1月30日
ちなみに、持ち帰って単三電池を入れたら実にスムーズに動作しました。
ただモルトがボロボロになっていて即実戦投入というわけにはいかず、また試写待ちのカメラやレンズがたくさんあったせいでフィルムを通すことなく半年近く放置していました。
5月も終わりになってHI-MATIC Eのモルトを貼り換えたタイミングで「そういえばモルトボロボロで放置していたカメラあったな」とこのカメラの存在を思い出し、あわせてモルトを交換。
同時に説明書を読みながらもろもろの動作確認を済ませ、実戦投入しました。
ちなみに、このブログでは以前ミノルタのHI-MATIC EとFを取りあげています。
レンジファインダーを採用していたこれらのカメラから10年あまりが経過したコンパクトフィルムカメラは、どのように変わっているのか。
AFが実現していたり自動巻き上げ・自動巻き戻しが導入されていたりと言った進化はありますが、そのかわりレンズは暗くなっていたり……比べてみると面白いです。
使った感想
失敗しないための様々な工夫がありがたい

写ルンですが登場する前のコンパクトフィルムカメラは、ターゲットが記念写真や旅先の景色を記録に残したいような一般の人々であったと想定されます。
そのため、このカメラは初心者でも失敗無く使えるようにするための機能が豊富に搭載されており、自動露出、自動巻き上げ、自動巻き戻しなのはもちろんのこと、フィルム装填にも気遣いが見られます。
フィルムのパーフォレーションをスプロケットの歯にかみ合うようにするところまでは普通のカメラと同じですが、裏蓋を閉じる前の操作にひと工夫があります。
裏蓋を閉じるより先に透明のプラスチックでできた内蓋を閉じると、自動的にフィルムが約1コマ分巻き取られるようになっているのです。

そうしてフィルムがスプールにきちんと巻き付くのを確認してから裏蓋を閉じれば、装填のミスも無くすことができるというわけです。
この仕組みがいつから採用されたかは分からないのですが、よく考えられていますよね。
ちなみに、カバーをつけたままだとシャッターが切れない仕組みになっています。
レンジファインダー機で「レンズキャップをつけたままシャッターを切る」という失敗を経験している身からすると、ありがたいです(笑)
まったくよくできたカメラだと思います。
「AFが効くコンパクトカメラ」の使い勝手の良さ

AFが効くコンパクトカメラってそれだけで意味がありますね。
使っていてハマったなと思ったのは、グループで登山に行ったとき。
狭い登山道、それもグループでの行動ではささっと写真を撮ることが求められるので、ピントや露出をカメラ任せにできるのはありがたかったです。35mmという画角も使いやすいですね。
アクティブ式を採用したAFの性能自体も良好で、少し暗めの場所でもきちんと動作します。パッシブ式と比較して暗所に強いのは、アクティブ式の利点とも聞きますね。
ただ、一眼レフと違ってピントが撮影者の意図したところに合っているのかファインダーで確認できないのは怖いわけです……私の個体は試写してみてしっかり作動していることが確認できたのでよかったですが。
シャッターフィーリングはよくあるプラスチックボタンのそれです。
可もなく不可もなく、といった感じ。
謎のアラーム機能

このカメラ、どういうわけかアラーム機能があります。
フィルムカメラに目覚まし時計の機能を搭載する必要というか需要がどのくらいあったのかは疑問です(笑) 旅先での使用を想定していたのでしょうか……
ちなみに手元の個体ではデート機能ともども作動しませんでした。残念。
作例
フィルムはすべてFUJICOLOR 100です。GT-X820で自家スキャンしています。

……まあ正直パッとした写りではないですね。ジャンク品ということで保管状況もそこまでよくなかったでしょうし、これは仕方ありません。


内蔵フラッシュが作動するのを確認したので、何枚か使ってみました。


結果は良好です。これだけ露出がいい感じなのに写りが凡庸なのは、何だかもったいないですね……
終わりに~写りは平凡だが使いやすい大衆機~

寄れなさなど難点もありますが、ファインダーを覗いてシャッターを押せば写真が撮れる気軽さは写ルンです級。フラッシュも使えますしね。
投げ売りされているので動作品に出会う機会も少ないと思いますが、もし出会ったらお手軽スナップ機として確保するのもアリではないでしょうか。
そして、もしそれがアラーム機能も作動する個体でしたら、どんな音なのか教えてください。地味に気になっているので(笑)
ただし写りは普通です。
直接関係ありませんが、LomographyからAFを搭載したコンパクトフィルムカメラの新製品「Lomo MC-A」が発表されましたね。
先日Lomographyの直営店で試作機を触ってみた感触としてはかなりよかったです。32mmというちょっと広めな焦点距離も面白いですし、絞り優先も使える点などかなり使い勝手がいいのでぜひとも入手したい……
もし買うことができたら35mm F2.8のレンズを搭載したAF-S QUARTZと比較するのも面白そうだなあ、と思ったのでした。
さて、次回取りあげるのは、東ドイツは人民公社ペンタコンから発売されたフィルム一眼レフカメラ、PRAKTICA SUPER TL 1000となります。はじめて扱う東側のカメラ、その性能やいかに――ということでお楽しみに。
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