カメラやレンズについて語りたいことを語るカメラよろず話。
第22回となる今回取りあげるのは、Zeiss Ikonが1929年に発売したフォールディングカメラ、Ikonta 520/2です。

いきなり戦前のカメラを取りあげるとあって落差が激しいですが、このブログは私が機材を購入した順に紹介していく形式を取っているため、発売時期のまとまりは考慮されていません。あしからず……
なお、過去のカメラよろず話については、以下のカテゴリーから参照ください。
Ikonta 520/2の仕様

レンズ:Novar Anastigmat 10.5cm F6.3
最小絞り/最大絞り:F6.3/F32
シャッタースピード:B・T・1/25・1/50・1/100
露出計:なし
フォーマット:120フィルム 6×9
測距方式:目測
発売年:1929(昭和4)年
Ikonta 520/2は、フォールディングカメラが世に出たての頃に登場したカメラです。レンズやシャッターの組み合わせにはいくつかバリエーションがあるそうですが、私の手元にある個体はレンズがNovar Anastigmat 10.5cm F6.3、シャッターがDERVAL製のものなので、廉価版の組み合わせですね。
Ikonta 520/2を買うまで
そろそろ中判フィルムに手を出してみてもいいのかもしれない……てか蛇腹のカメラってかっこいいよな~ と思っていた時に松屋銀座の「世界の中古カメラ市」でジャンクのワゴンに転がっているのを見て興味を惹かれたのが入手のきっかけです。
手に取って見たはいいものの、操作法が一切分からないでまごついている私に、隣でワゴンを漁っていたおじさんが親切にも操作法やレンズのコンディションの確かめ方(裏蓋を開け、シャッターをTに設定した状態でレンズを裏から光にかざす)などを教えてくれました。
まあこれなら使えるか、と判断した私はおじさんにお礼を言い、店員に購入を告げたのでした……確か4,000円くらいだったかな。
外観と機構、使用上の注意

外観は古色蒼然たるフォールディングカメラです。
上の画像で左奥の側面上部に見えている小さな銀色のボタンを押すと、ロックが解除されます。
その状態でゆっくりと蓋を開けると、次第に蛇腹が展開されます。そのままカチリと音がしてレンズの位置が落ち着くまで、ゆっくりと広げていきます。

シャッタースピードを設定、ピントは距離表示を見ながら目測で合わせ、レンズの斜め上についたファインダー(左右反転)を見ながら構図を合わせたら、レンズ脇のシャッタレバーをコトリと落とすように扱います。
撮影できたら、巻き上げレバーを回して、ボディ裏側の赤窓に次の数字が出るまでフィルムを巻き上げます。自動巻き止めなどという高尚な機能はありません。ちなみに赤窓にカバーはついていませんので、気にする方は直射日光をなるべく当てないようにしましょう。
6×9判なので、この繰り返しをわずか8回行えば撮影が終わります。
簡単! シンプル!
……ちなみに私はこのカメラにフィルムを3本通し、多重露光を3回やらかしました(笑)
もう一つの注意点としては、シャッタースピードの上限が1/100であること。開放F値が低いレンズではありますが、気を抜くとすぐにオーバーになります。
目測式のカメラなので被写界深度を稼ぐ意味でも、絞って使うのがおすすめです。
Ikonta 520/2を使った感想と作例
以前、Z6IIIの感想コーナーでは「正直、機能に関しては勝ってから一年経過しても使いきれていないんですよね……」とか言っていましたが、このカメラは一回撮れば機能の全てを使えるので(というか使わないと撮れない)、正反対だなと思います(笑)
機能はシンプルですが、それゆえ色々と気を遣います。
先ほども触れたとおり、巻き止めがないのでうっかりフィルムを巻き上げすぎるリスクがありますし、多重露光を防止する仕組みはもちろん、シャッターチャージすらないので気を抜くと多重露光を連発します。
そんな中でも撮影できた貴重な作例をご覧ください(笑) なお、レンズの曇りが酷かったため、これがレンズ本来のパフォーマンスでないことを申し添えておきます。

結構暗くなっていたので、おそらく絞り開放で撮っています。ガンガン周辺減光していますね。

このときはちゃんと写るぞ、と思っていたのですが、フィルムを白黒に変えて日中に試してみると……

スキャンしたときの縦線、そして右下と右上に光漏れによるものらしい不自然に明るい部分があります。

橋のところがぼんやりと白くなっているのが分かると思います。ほかのコマでも同様だったので、おそらく蛇腹のどこかに穴が開いているか、もしくはレンズボードと蛇腹に隙間が空いているか……
真っ暗にした浴室でライトを使って穴の位置を特定しようとしたのですが、見つけられず。それ以降持ち出せていません……
終わりに~温故知新レベルMAX~

レベルMAXとか言ってますが、黎明期とはいえフィルムカメラ、しかもフォールディングカメラなので、ある程度は進化したものなんですよね。遡っていけばそれこそ乾板写真とか湿板写真とかが控えているので、本当の意味でのレベルMAXではないかもしれません。
しかし、携帯してある程度気軽に撮れる現代のカメラへ続く系譜をたどっていくと間違いなく原点に近い場所です。
使うだけで感慨深くなる、そんな一台で写真が撮れたのは幸運なことでした。
さて、次回はCarl Zeiss Jena Pancolar 80mm F1.8――Pancolarシリーズの中では50mmの次に手に入りやすい、しかしレアではある、そんな東ドイツの名レンズを取りあげます。
それでは、また次回の更新で。
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