『GUNSLINGER GIRL』完結&最終巻発売
『GUNSLINGER GIRL』15巻 レビュー
GUNSLINGER GIRL(15) with Libretto!II (電撃コミックス) (2012/12/15) 相田裕 商品詳細を見る |
先日この作品は、第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で、優秀賞を受賞しました。
10年にも及ぶ連載を終えた直後で、突然の知らせでした。
驚きましたが、納得の受賞だと思います。
それでは、レビューば。
前巻、14巻のレビューはこちら-「GUNSLINGER GIRL 14巻レビュー」
ついに新トリノでの戦いを終えて、物語は幕引きへ。
平和を取り戻しつつあるイタリア。
強力すぎる超法規機関である「公社」を疎ましく思う存在が動き出し、新ミラノの部隊、そしてクラエスたちが留守を守る「公社」本部にも影が。
その存在意義を失いかけている公社の、そして義体たちの運命は――
◇あらすじ
公社と五共和国派の戦闘が終結しつつあった、新ミラノ原発に突如として現れたのは、なんと陸軍の機械化旅団の大隊。
彼らは新ミラノに居た公社の課員全員に投降を命じ、身柄を拘束する。
そしてその頃、「公社」の本部には第一パラシュート連隊A中隊が迫っていた。
ちなみに、A中隊というのは、かつてジョゼの同僚であったマルカントニオが所属していた部隊。
彼が密輸に関わっていたことが「公社」によって発見されて以来(単行本第4巻21話参照)、A中隊は謹慎処分となっていた。
そこを、「公社」を潰そうと企画した政府内の人物に利用されたのである。
新ミラノに戦力を集中していた「公社」は、本部に残っている人員をかき集めて対処に当たるのだが……
◇感想
読了後、非常に充実した、感慨深い時間を手にしていました。
最後は一気に時間が進むのですが、それを雑と思わせない作りこみでした。
いや、本当にね。しみじみと。
ただ、やはり、それでも少々急ぎすぎた感はあったかなと。
もしかしたら、連載の終了を急かす声もあったのかなーとか邪推しちゃったりでした。
……とは言え、それでは蛇足になってしまうのでしょうね。
この本は、戦いの話なのですから……
以下、ネタバレを最小限にとどめつつ、見所を紹介します。
クラエスの存在感
この巻は、クラエスが語るシーンが多いのですが。
クラエスのひとり語りは安心するものがありました。
回想シーンを語らせたら、この人の右に出る人はいないでしょう。
雰囲気あるキャラですからね……
そして、大きな見せ場がひとつあるのですが、そこがもうクラエスの文字通り独擅場でした。
かっこいいね、クラエスさん。
サンドロとペトルーシュカ
シリーズの途中で出てきたこの二人でしたが、特に終盤にかけて二人の存在は大きいものでした。
この最終巻でも、新ミラノ後の二人がページを割いて描かれています。
心打たれる展開なので、これだけでも読む価値あり。
トリエラとグエルフィ、ヒルシャー
この3人の物語も、最後に意外な展開を迎えます。
新ミラノで倒れたトリエラとヒルシャーですが、ヒルシャーはグエルフィ検事にあるものを残していました。
特に最終話の一連の話は、ヒルシャーとトリエラの残したそれがなければ、あり得なかったのです。
ラシェルが自らの身を賭して残した、命はどうなるのか……
でも、彼女たちの思いは、無駄にはならなかったようですよ。
………
ネタバレにしないためにも、これくらいしか話せませんが
もう、なんというか読め(笑)
この漫画は、多くの人物が時代の波に翻弄されつつ、力強く生の賛歌を謳う物語です。
義体たちは皆、短い命の炎を、精一杯燃やして生き抜いていきました。
そんな彼女たちや担当官の生き様に魅せられて、自分はこの漫画が好きになったのでしょう。
いのちをもやす、話でした。
この前、表参道でやっている原画展も見ましたが、展示替えした19日からの2ndシーズンも見たいと思います。
パスタの国の話のシーンでうるっときてしまった。
アンジェの話は、本当に泣けるよね。
お久しぶりです、こおろぎです。
年内最後、もしくはそれに準じる更新になります。
年内にもう一回更新したとしたら、それがこの一年の統括記事になりますでしょうか。
ある日、BOOK OFFで立ち読みしたのをきっかけにハマった『GUNSLINGER GIRL』でしたが、連載終わって、単行本最終巻が出て、文化庁の賞まで取って、感慨深いです。
自分もこんな命の賛歌をいつか書いてみたいな、と思います。
【今日のぴっくあっぷ動画】
◇いつもの
ゆかりんは可愛いなァ!!
「西住殿ォ!」いいね。
◇東方アレンジ名曲選
サークル「Minstrel」のアルバム、「あの日の蜃気楼」から。
「死霊の夜桜」のボーカルアレンジはこの曲で初めて聴きましたが、一発で気に入りました。
特にサビはお気に入りですね。