こおろぎ観察日記

撮ったり書いたり旅したり、趣味についてのブログです。最近はカメラについて。

カメラ道楽の男が遺した夢の結晶 ゼンザブロニカS2 & Nikkor-P 7.5cm F2.8について:カメラよろず話 第31回

明けましておめでとうございます。

カメラやレンズを使った感想や作例について書くカメラよろず話、第31回で取りあげるのは、ゼンザブロニカ工業株式会社が1965年に発売した一眼レフカメラゼンザブロニカS2と、標準レンズNikkor-P 7.5cm F2.8です。

ゼンザブロニカS2 & Nikkor-P 7.5cm F2.8

吉野善三郎という一人のカメラ好きによる夢の結晶であるブロニカ、その製品ラインナップにおける最後の機械式シャッター機にしてロングセラーを誇った名機であるS2を使った感想や作例について書いていますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、過去のカメラよろず話については、以下のリンクからどうぞ!

mushikago.hateblo.jp

ブロニカS2の仕様

ボディ側面に見えるのが巻き上げクランク、フィルムバック側面上部に見えるのが120/220切り替えスイッチです。

このカメラを製造したゼンザブロニカ工業株式会社はタムロンに吸収されたのですが、そのタムロンのWebサイトには、ブロニカの各機種の仕様をまとめたWebページが今も残っています。

www.tamron.com

フォーマット:6×6判 120フィルム/220フィルム(フィルムバックで切替可能)
シャッタースピード:B・1~1/1000秒
シャッター:縦走りフォーカルプレーンシャッター
レンズマウントバヨネットブロニカマウント
フォーカス:MF
巻き上げ:手動
発売年:1965(昭和40)年

特徴としては、フィルムバックが120/220切り替え式なこと、そして撮影途中でもフィルムバックを交換することでフィルムの変更が可能なこと、ヘリコイドがレンズと分かれていることですね。

フィルムバックについては、いったいどういう仕組みでそんなことができるんだって感じですが、遊星歯車がうんぬんかんぬんと、まあとにかく複雑な仕組みを利用しているのだそうです。スゴい。

また、一枚一枚を確実に撮影するためのフェイルセーフ機構があるなど、素人の私からしても本当によくできたカメラという印象を受けます。

このS2、ブロニカのシリーズの中では4代目です。初代であるゼンザブロニカDは、戦前は米穀商を営んでいたカメラ好きの男、吉野善三郎が自らの理想となるカメラを追求した結果生まれた一台です。

S2の次、ECからブロニカは電子シャッターとなっていくわけですが、このS2は初代ブロニカの面影を残しつつ完成形としてロングセラーとなるわけであり、まさに吉野善三郎の夢の結晶といえるような一台なのではないかと思います。

Nikkor-P 7.5cm F2.8の仕様

F8 1/250 ACROS100II

焦点距離:75mm
最大口径比/最小口径比:F2.8/F22
レンズ構成:4群5枚
対角画角:55.3°
最短撮影距離:0.6m
マウント規格:バヨネットブロニカマウント
絞り羽根:9枚
フィルター径:67mm

※他記事からフォーマットをコピペした際のミスによりマウントに誤りがあったのを修正しました(2026年1月18日修正)

35mm判換算41mmと少し広めですが、ブロニカにおいてはいわゆる標準レンズ的な立ち位置のレンズです。

この記事を書くにあたって、はじめて絞り羽根が9枚であることを知りました。自動絞りで9枚はまあまあがんばってるなという感想になります。同じスペックでこれより高価なNikkor-H.C 75mm F2.8が存在していたことも考えると、よくまあこのレンズで6枚とかにしなかったな、と思うわけですね。

ちなみに、このレンズはボディにつけるとほとんどボディに埋まったような見た目になり、初めて見る人がブロニカと7.5cmのセットを見るとレンズがついているようには見えないほどです。

このレンズを含め、ブロニカニッコールレンズについてはこちらのページが詳しいので気になった方は合わせてご覧ください。

shiura.com

入手した経緯

見た目がいい感じで……6×6判で撮ってみたくて……あとウエストレベルファインダーで……そして一番大事なことなんですが(笑)、ある程度手ごろな価格で入手できるシステムってなるとブロニカしかないんですよね(バイバイハッセルブラッド……)。

というところでセカベこと秋葉原の2nd baseでレンズ込み5万を切る個体と巡り会えたので買ってしまいました。

セカベにはブロニカが割といつでも在庫あるので、気になる人は行ってみてください。

使った感想と作例

①手頃な価格で中判画質を楽しめるのはありがたい

ちょっと絞って風景撮るのが一番楽しい。 F5.6 1/250 PORTRA 400

「和製ハッセルブラッド」とも呼ばれることがあるブロニカ。このブロニカと同じ66判で形も非常に似ており、参考にされたと思われるハッセルブラッドはとても人気が高いですが、価格も高いです。

ほかに、判型は違えど同じ中判の一眼レフというとPentax 67なんかもありますが、高くてなかなか手が出ないですよね。

その点、ブロニカ S2は今でも中古カメラ屋では5万円程度で標準レンズであるNikkor-P 7.5cm F2.8とのセットが手に入ります。

Nikkor-P 7.5cm F2.8の写りが劣っているかというとそんなことはなく、絞った時の写りは素晴らしいです。

三脚に据えて撮った木崎湖。 F11 1/500 PORTRA 400

単純に66判でお手頃なカメラが欲しい、となるとMinolta Autocordあたりも候補になるのですが、二眼レフと比較するとブロニカはレンズ交換式である特徴が光ります。

多くの機種がある中判フィルムカメラの中でも、レンズ交換式かつ手ごろな価格で入手できる一眼レフカメラのシステムってブロニカ以外だと(たぶん)ないんですよね。

そう言った意味で、価格と楽しみのバランスが取れたいいカメラだと思います。

②ウエストレベルファインダーは楽しい

晴天だともうファインダー覗いてるだけで楽しいです。昭和記念公園にて。

ファインダーを覗き込んだときの感動はひとしおです。並くらいの状態である私の個体ですらそうなので、発売直後の新品だったときのファインダーはそれはそれは美しかったことでしょう。

③フェイルセーフがすごい

側面奥に見えるのが引き蓋。これを抜かないと、シャッターが切れないようになっている。

このカメラの特徴の一つは、失敗しないで撮影するための操作や機構がとてもよく考えられていることです。

とにかく、フィルムの意図せぬ感光を防ぐための機構がふんだんに盛り込まれています。多重露光防止(フィルム送りとシャッターチャージが連動)はもちろん、引き蓋を抜かないとシャッターが切れないようになっているなど、失敗せずに撮影するためのフェイルセーフがしっかりと設けられているのはありがたいです。

ちなみに、空シャッターはフィルムバックを外した状態で切る仕組みです。

④しかし、さすがにちょっと重い

 スナップにも使える画角です。このデカ重カメラがスナップに向いているのかと言われると怪しいですが。 絞り・SS不明 GOLD 200

ただでさえ重くなりやすい一眼レフ、しかも中判……そりゃ重くなるというものです。

ブロニカの場合、S2と7.5cm F2.8の組み合わせで約1.7kgあります。そのため、手持ち撮影はちょっと大変です。油断するとブレるボケる傾く……こればかりは慣れですね。筋肉を鍛え、水平に気を配りましょう。

⑤シャッター音がデカい(でも好きです)

シャッター音がまあうるさいです。とはいえ不快になるような感じではなく、むしろ使っていると癖になります。

Bronicaを使う醍醐味と言っていいかもしれません。

Youtubeにシャッター音だけを録った短い(16秒)動画が上がっているので、ぜひ聞いてみてください。しかしシャッターチャージ早いな……

www.youtube.com

↑の動画でも聴こえていますが、シャッターチャージをしたときに鳴る「バキャッ」という音は心臓に悪いのでどうにかならんかったのかと思ってしまいます(笑)

⑥ホールドがしづらい

最短撮影距離付近まで寄って撮るのは大変です。F4 1/1000 ACROS 100II

持つところがないので、ストラップがないと重さ以上に扱いづらいです。専用金具を要するのですが、その入手性がとにかく低く……私は本体を入手したしばらく後に、上野松坂屋で開かれていた中古カメラ関係の催事で純正品をたまたま入手しました。

いちおう互換性のある現行品も出ているみたいですが……

ちなみに専用金具については、このWebサイトが大いに参考になります。

nikomat.org

ちなみにグリップもあるらしいんですが、中古カメラ屋を廻れど見かけたことすらありません。

「実在するのか……?」と思っていたら、ヤフオクにはちょくちょく出ていました。いつか使ってみたいものですが……

⑦持病に注意……そして修理へ。

150mm F3.5で手前の花を狙ったが、奥にある青色のポールにピントが合っている。

このカメラ、基本的に大変よく出来ているカメラなのですが、有名な弱点があります。

それは、本体上面に据えられたピントスクリーンを上から押さえているモルトが劣化し、スクリーンが浮いてしまうというもの。

これにより、スクリーンを見てピントを合わせた写真を現像してみたら、意図した位置より後ろにピントが行ってしまっている、といった現象が起きてしまいます。

調べると対処法も出てきますし自分で何とかできなくもないのですが、モルトの部分へたどり着くために取らなければいけないネジが固すぎて対処を諦め、イストテクニカルサービスへ修理をお願いしました。

この記事を書いている今は絶賛修理中です。

ちなみに、12月6日に東京の営業所へ持ち込み、見積もりが返ってきたのが12月25日。そこから細かな状態の質問などをメールでやりとりして、1月13日に修理のGoサインを出したところです。

修理には3ヶ月前後かかるとのことで、桜にはギリギリ間に合わないけどGWには使えそうなので完全復活したブロニカを使うのが楽しみです。

終わりに

ISO400だと手持ち撮影で絞っても安心ですね。 F11 1/500 PORTRA 400

2026年最初の記事でしたが、いかがでしたでしょうか。

ブロニカの成り立ちは有名な話でもあるので記事の中では書きませんでしたが、吉野善三郎というカメラ好きの男がカメラメーカーを立ち上げ、試行錯誤を重ねて作り上げた夢のシステムであるブロニカなわけです。

そんなブロニカの中でも機械式最後の機種であり完成度の高いS2を使うのはかなり楽しい体験であり、レンズ交換の楽しみも味わえるとあって、中判フィルムカメラ始めたい人にはぜひおすすめしたい一台です。

次回のカメラよろず話は、そのブロニカの交換レンズであるZENZANON 150mm F3.5を取りあげます。35mm判換算では82mm相当の画角となる、使い勝手の良い中望遠単焦点レンズです。

使い勝手や実写を紹介しますので、お楽しみに。

ではでは、また次回。

 

以下、アフィリエイトコーナーです。

▽やはり定番ですね。手持ちで絞るなら400が安心。

▽開放で使いたかったり、三脚使用なら160もいいですね。