こおろぎ観察日記

撮ったり書いたり旅したり、趣味についてのブログです。最近はカメラについて。

ソヴィエトが遺した六芒星 Индустар-61 Л/З 50mm F2.8について:カメラよろず話 第26回

カメラやレンズの使用感や作例について気ままに書くカメラよろず話、その第26回で扱うレンズはソ連のリトカリノ光学ガラス工場が製造したИндустар-61Л/З 50mm F2.8です。英語表記だとIndustar-61L/Z 50mm F2.8となります。

Индустар-61Л/З 50mm F2.8

ソヴィエトレンズの入門的存在としてポピュラーで、しかもある特徴を秘めたレンズ。そんなレンズについて使用感や実写を紹介しますので、ぜひご覧ください。

なお、過去のカメラよろず話については、以下のカテゴリーから参照いただければと思います。

mushikago.hateblo.jp

Индустар-61 Л/З 50mm F2.8 仕様

鏡筒を一周するように距離指標が書いてあります。

焦点距離:50mm
最大口径比/最小口径比:F2.8/F16
レンズ構成:3群4枚
対角画角:47°
最短撮影距離:30cm
マウント規格:M42マウント
絞り羽根:6枚
フィルター径:Φ49mm

標準レンズとしてはちょっと暗めなかわりに、最短撮影距離は30cmとF2未満の標準レンズと比較するとちょっと寄れる、と言ったスペックです。とはいえ同じような焦点距離でハーフマクロを実現するようなレンズでは最短撮影距離が23cmとか25cmとかなので、それには及びません。

入手した経緯

実を言うと、入手した際にはこのレンズが欲しかったわけではありませんでした。

このレンズが私の手元にきたきっかけは、2nd baseの新春くじ引き企画。1万円で購入して、A賞がPlanar 50mm F1.4、B賞がこれでC賞がSMC Takumar 55mm F1.8という内容でした。

当然A賞を狙って挑んだのですが、あえなくB賞のこのレンズを獲得した、と言うのが入手に至った経緯の全てです。ちなみにそのあとGOLD 200を買うためにレジに並んでいたら私のすぐ前でPlanar当てた人がいました。マジかよ……

使った感想

星ボケの話

ご存じの方も多いと思いますが、このレンズは絞りをF4~F5.6あたりにすると星形になります。ただし、一部こうならないロットもあるようで、そのあたりの事情は↓のページに詳しいです。

one-scene.com

私の手元にある個体は、星形になるタイプです。この状態で背景に点光源を配置してぼかすと、ボケが六芒星のシルエットになります。

F5.6くらいで星形になります。

ほかにもВОПНА-9など星ボケが出るレンズはあるらしいのですが、その中で最も入手性に優れているのがこのИндустар-61というわけです。そういうわけで、買ってしばらくはこの星ボケを狙って撮影していました。

お決まりの星ボケ。 F5.6 1/50 ISO720

昼間でも木漏れ日を背景に置くなどして狙うことはできますが、やはり夜のイルミネーションで作るのがラクで絵になります。そのうち飽きますけどね。

絞り環の操作感と位置

これは好き嫌い分かれそうなポイントです。

まず、絞り環にはクリック感がありません。私はこのタイプが以前触った蛇腹カメラ、Ikonta 520/2以来だったので少し戸惑いましたが、嫌いではないです。

mushikago.hateblo.jp

また、絞り環がレンズ先端にあるというのも好き嫌い分かれそうですね。私はちょっと操作しづらくて好きではありません。まあ慣れの問題な気もします。

作例

F5.6 1/50 ISO3600

星を出すのは楽しいのですが、正直だからなんだよと言う気持ちもあり……(笑) 面白いは面白いですが、それだけでこのレンズを評価するのはもったいない気がします。

というわけで、ここからは日中、フィルムカメラで使用した作例です。カメラはすべてST801。

PORTRA 160 F2.8 1/500

どこにピントが来ているのかよく分からない写真になってしまいました。ただ、光の受け取り方は好きです。

PORTRA 160 F2.8 1/250

これすごく好きな一枚です。惜しいことに水平が取れていませんが……

開放F値が控えめなこともあってか、開放でも周辺減光はあまりないように思います。

寄り気味の一枚。 Illford Pan F Plus F2.8 1/125

ボケに変な癖は感じません。素直で使いやすい標準レンズ、と言った趣です。

Illford Pan F Plus F2.8 1/60

一応玉ボケっぽい感じにもなりますね。

ベンチ。Illford Pan F Plus F2.8 1/250

開放ですがまあちゃんと写るんですよこれ。

Illford Pan F Plus F8 1/125

F8まで絞るともう本当に普通の標準レンズです。

レンズ構成の話

これはLZOS(ルトカリノ光学硝子工場)製造であることを示すマーク。

このレンズ、非常に長きにわたって生産され流通量自体が多い割には日本語のウェブサイトに信頼できる情報がなかなかありません。レンズ構成が3群4枚である、ということに関して少しでも信頼のおける情報源を掘ろうとすると、すぐにロシア語の壁にぶち当たるわけです。

私はキリル文字をいちおう読めるのですが、読めるだけなのでロシア語の文法や単語はほとんど分からず、解読できません。

それでも一応、M42マウントのオールドレンズと言えば、と言うspiralさんのブログに「参考文献」として引かれている"A. F. Yakovlev Catalog The objectives: photographic, movie, projection, reproduction, for the magnifying apparatuses, Vol. 1"を直接あたることで、根拠としています。いまはAIなんかもあるので、翻訳が便利になりました。

spiral-m42.blogspot.com

まあ↑のタイトルでググって出てきたPDFは469頁もあった上に当然というか何と言うかロシア語で書かれていたので、解読できたのはごく一部なのですが、どうやら3群4枚の構成であるというのは本当のようです。

A. F. Yakovlev Catalog The objectives: photographic, movie, projection, reproduction, for the magnifying apparatuses, Vol. 1より引用

ちなみに、そのカタログにはこのレンズが以下のように紹介されています。少々長いですが、Google翻訳にかけた文章を以下に示します。

写真レンズ「INDUSTAR-61-3」

Industar-61-3(2.8/52)大口径4枚構成非点収差レンズ(図1)。光学部品はランタンガラス製で、レンズには化学コーティングが施されている。

フレームサイズ2.4 x 3.6 cmの小型カメラ用メインレンズとして設計されています。Zenitタイプの一眼レフカメラ用フレームもご用意しています。

このレンズは、高い口径比と解像度、優れた画質により、建築アンサンブル、風景、被写体の照度が低い屋内写真、集合写真などの撮影を含む、さまざまなタイプの写真撮影に使用できます。

2.8/52っていう表記が気になるんですが、これは"50mm"として発売されている多くのレンズの実焦点距離が51.6mmであることから来ているところから推測して、このレンズも実焦点距離が51.6mmに設定されており、小数点第一を四捨五入して52mmと表記していることなのだと思われます。

使い勝手のいい標準レンズであること、また明るいレンズであることをアピールします。F2.8は暗いと思うんですが……それはいいのか?(笑)

終わりに~ソヴィエトの息吹を感じて~

燦然と輝くСССРのマーク。

星ボケばかり取り上げられがちですが、普通に使えば普通に写る、そんなレンズです。安心と信頼のテッサーですからね。

M42マウントのお手頃標準レンズとしてはTakumar 55mm F1.8が大人気ですが、ちょっと奇をてらっていきたい方や共産趣味な方にはお勧めなレンズです。

キリル文字と、筐体に刻まれた"СССР"マークに興奮できる人はぜひ使いましょう。

さて、次回の更新ですが、MINOLTA AF-S QUARTZについてです。1,000円と言う爆安価格でジャンク箱から拾ってきた、目覚まし機能の付いたカメラです。

もう一度言います。目覚まし機能がついたカメラです。ご期待ください(笑)

それでは~

以下、アフィリエイトコーナーです。

▽フィルター径は49mmです。

▽『オールドレンズ・ライフ Vol.5』は東独・ロシアレンズ特集がある産趣味者大喜びの回です。